新規開発船 TESS98 第1番船を中国の工場で竣工

2011年4月11日

常石造船

[企業動向]

常石造船株式会社(以下:常石造船、代表取締役社長:川本隆夫)は、新しく開発し市場投入した
9万8千重量トン型ばら積み貨物船「TESS(テス)98」の第1番船"GL XIUSHAN"(ヨミ:ジーエルシュウシャン)を海外グループ会社の常石集団(舟山)造船有限公司(中国浙江省舟山市岱山県秀山島、以下TZS)で建造、4月8日(金)に竣工しました。

「TESS98」はポストパナマックスバルカーとして2008年に開発した9万8千トン型のばら積み貨物船で、当社商品「TESS」シリーズ※1の最 新船型です。従来同タイプの船は載貨重量9万トン前後、全長約235メートルが一般的であるなか、「TESS98」は載貨重量トン数を増加するため船の全 長をおよそ240メートルに決定。全長を伸ばしながらも国内の石炭輸送の主要港湾に入港できるサイズを維持し、10万トンに迫る載貨重量を確保していま す。本船型は船主ニーズを反映して比重の重い鉄鉱石も隔倉積み※2できるよう船体の強度を高めて汎用性を備え、使い勝手の良さを実現しています。国内の発 電所に向けた石炭輸送のみならず、中国やインドなど電力需要や粗鋼生産量が高まる新興国に向けた、石炭や鉄鉱石の旺盛な輸送ニーズにも対応する船型です。 その他、波の抵抗を減らし荒天時でも効率の良い航行が可能な船首形状や、広島大学と共同開発した空気抵抗を減らす居住区形状を採用するなどして燃費効率を 向上させ、一日当たりの燃料消費量は約44.4トンです。

また、「TESS98」はバラスト水※3に着目して環境に配慮した機能や輸 送効率を高めています。一つは生物多様性の保存を目的としたバラスト水処理装置の導入です。バラスト水として取り込む海水中の微生物などを殺滅処理したの ちに排水する装置で、近年国際的な課題となっているバラスト水中の微生物などが排出地域の生態系に与える影響を低減しています。国際海事機関によるバラス ト水の水質に関する新しい国際ルールの発効※4が予定される中、「TESS98」はその発効に先立ちバラスト水処理装置を標準装備とし、「GL XIUSHAN」には韓国企業テクロス社製の装置を搭載しています。

二つ目は自動バラスト水排水監視装置(ADS)です。バラスト水を取り出 す管は通常バラストタンク毎に1本ですが、小口径の管を1本追加しています。タンク内の水位が一定まで下がると警報で船員に知らせ、小口径管に切り替えて 使用することで低水位の水も吸い出すことが可能です。従来よりもタンク内の残水をおよそ240トン少なくでき、その重量の分、貨物を多く搭載できます。ま た排水ポンプの能力を従来より強化し、小口径管を同時に使用することで10時間以内でのバラスト水排水を可能にし、港湾での滞在時間短縮によって輸送効率 の向上に貢献しています。

1番船を建造したTZSは2003年に常石造船が中国に設立した造船会社で、常石工場向けの大型舶用ブロックの製作からスタートしました。2007年には1隻建造を開始し2010年11月には通算建造50隻を達成、順調に建造実績を重ねています。

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