常石造船株式会社(以下、常石造船、代表取締役社長:川本隆夫)は、海外グループ会社の常石集団(舟山)造船有限公司(以下、TZS)において、1020TEU型コンテナ運搬船4隻を、中国大手国営企業の上海国際港務(集団)股份有限公司(以下、SIPG)の香港子会社から受注しました。SIPGは、上海港を拠点に荷役や物流などの港湾事業を展開する中国の国営企業で、常石造船およびTZSが中国国営企業から新造船建造を受注するのは初めてです。本船型は2011年、常石造船が商品の多様化を目指して開発したもので、2016年2隻、2017年2隻を竣工する予定です。
今回受注した4隻は、2013年に燃費性能を改善し新国際ルールに適用した最新の改良モデルです。電子制御エンジンを採用して、従来機械制御であった燃料噴射を電子制御することで、燃料消費量や排ガスに含まれる窒素化合物を低減するのに加えて、主機の出力をさらに効率よく推進力に変えるプロペラを独自に設計し、燃費を向上させています。また、2014年7月以降の契約船に対し国際海事機関が発効する船内騒音に関する規制強化に対応した居住区内部の設計で、船員の労働環境性を向上しています。従来モデルと同様に、居住区を船尾端部に搭載し、甲板上のコンテナ積載スペースを居住区前方にのみ配置する工夫で荷役作業の効率化を図り、荷役時間の短縮化に貢献します。
今回受注した4隻は、SIPGのグループ会社の上海海華輪船有限公司(以下、HASCO)が運航します。HASCOは、日中間や中国と東南アジアを結ぶ航路で定期コンテナ輸送を担う国営海運会社です。4月11日には、常石造船本社工場のある広島県福山市沼隈町で契約調印式を行いました。船主代表者のSIPG黄新副総裁と香港子会社の顧建民総経理は調印後、「本船型の高い省エネ性能は、当社海運事業の運航コスト減だけでなく海洋の環境保全にも貢献すると確信している。TZSで最新の工場設備と工程や品質の管理体制を見て、皆さんの良い船づくりへの意気込みを感じ、竣工を楽しみにしている。」と、話しました。
4月11日(金)契約調印式の様子
1020TEU型コンテナ運搬船(神原汽船運航船)の写真
今回受注した1020TEU型コンテナ運搬船の主要目と特徴
- 船種
- 1020TEU型コンテナ運搬船
- 長さ×船幅×深さ
- 約143メートル×22.60メートル×11.30メートル
- 載貨重量トン
- 約12,000mt(メトリックトン)
- 総トン数
- 1万トン未満
- 主機
- MAN B&Wディーゼル機関6S50ME-B8.3
- 航海速力
- 18ノット
- 建造工場
- 常石集団(舟山)造船有限公司
- その他の特徴
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・プロペラ前部に取り付ける複数の翼型構造物「MT-FAST」を搭載。水流を整えることで推進効率が向上する。日本郵船グループ会社の株式会社MTIと共同で2008年に開発した。
・船首部の波の抵抗を軽減する「SEAWORTHY」を採用。高い波でも抵抗が少なくなり、貨物搭載時のシーマージン(波浪中の抵抗増加)を最大約5%削減できる。広島大学と共同で開発した。
・14MTのコンテナを650TEU積載可能な復原性性能を確保。
・燃料タンクの二重船殻化、船尾管エアシール、バラスト水処理装置の搭載など環境に配慮した仕様。
・危険物や冷凍コンテナなど多様な貨物に対応。
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